歯の内部を治療する
「歯内療法」 Endodontic therapy
歯内療法とは、読んで字の如く『歯の内部を治療すること』です。歯の内部にある歯髄(通称神経)が入っていた根管といわれる管に対して行われる治療です。
歯髄に達する虫歯であるC3やC4レベルになると歯が生きている証の歯髄は機能不全となります。C4では歯そのものを残せなくなってしまいますが、C3の虫歯であれば根管内の細菌を排除し消毒することにより歯の根は残せ、被せ物を入れることにより咀嚼に寄与できることになります。場合によるとC2でも歯内療法が必要になることがありますので、最も大切なことはそれ以前の段階で対処することです。
当院の歯内療法の特徴
歯科用CTの活用による
精密画像診断
CTでは、二次元的なX線写真では見えなかった歯の内部や骨の内部まで、断面が正確に見ることが出来るようになり、あらゆる角度から審査・診断し、シュミレーションすることが可能になりました。また、歯科用CTは当然デジタルですから、コンピュータを使って映像を解析しますので、従来のアナログエックス線の8~10分の一程度の被爆量で済みます。
根管治療に歯科用CTが
必要なのはなぜ?
まず、レントゲンは2次元の平面画像を提供するもので、歯や周囲の組織を横から見るような形で撮影します。これは、比較的簡単で迅速に撮影でき、放射線の被ばく量も少ないため、一般的な歯科診療で広く使用されています。しかし、レントゲン画像では歯や根管の構造を平面的にしか捉えられないため、複雑な根管の形状や、隠れた問題を正確に診断するには限界があります。
一方、歯科用CTは3次元の立体画像を提供します。これにより、歯や根管の全体像をあらゆる角度から詳細に確認することができます。CTは、根管の数や位置、形状が複雑な場合でも、正確に把握することができ、治療の計画を立てる際に非常に役立ちます。また、レントゲンでは難しい、歯の小さなヒビや割れも映し出すことができ、感染の範囲や骨の状態も正確に診断できます。
これらの違いから、レントゲンが基本的な診断ツールとして使用される一方で、より複雑で精密な情報が必要な場合には歯科用CTが使用されるのです。CTを利用することで、より精密な治療が可能となり、根管治療の成功率を向上させることができます。また、CTを使わない治療よりもトータルで治療期間を短くすることもできます。
NiTi(ニッケルチタン)
ファイルの使用による
細菌除去
NiTi製ファイルはチタン合金の持つ超弾性を発揮することにより、本来の根管形態を破壊することなく、短時間で効率的に細菌や削片を除去することができます。
ラバーダムの使用
歯の根の中をできる限り綺麗にするのが根の治療です。唾液には多量の細菌が含まれていますので、根の中に唾液が入ってしまうのを防ぐことにより治療効果を高めることができます。また口腔内への器具の落下の防止や根管内を消毒する消毒液から粘膜を保護する利点もあります。
アメリカの根管治療専門医は、治療の90%でラバーダム防湿を使用しています。しかし、日本の歯科治療現場ではラバーダム防湿の使用率が低く、根管治療(歯内療法)においてさえ、学会員の約25%、一般歯科医の約5%にとどまるという報告があります。当院では、ラバーダム防湿を積極的に取り入れています。
※状況により行わない場合もあります。(患者様がなにかしらの理由で、拒否される場合は相談させていただきます)お気軽に担当医にご相談下さい。
MTAセメントの使用
当院では、根の詰め物をする際にMTAセメントという殺菌作用及び強い接着性、歯の組織を再生させる効果(再石灰化性)があるものを使用しています。
マイクロスコープによる精度の高い根管治療
根管治療が終了しても再発することがあります。そのリスクを最小限に抑え込むためには多角的な取り組みが必要となります。再発する主な原因としては、虫歯菌に感染した病巣の取り残しや治療期間中に根管内に菌が侵入することがあります。
根管は太い主根管と側枝と呼ばれる枝分かれした細い根管から構成されており、側枝は網目状に複雑な形状になっていることも多いです。そのため、根管内を治療する器具はどうしても太い主根管が入りやすく、側枝の方は手付かずの状態になりやすかったり、主根管でも入口が狭いと見落とすこともあるのです。
そのような事態を避けるために視野を4K高画質・最大80倍まで拡大することができるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用して肉眼では捉えきれない細部まで確認しながら根管治療を行います。
根管治療の流れ Flow
CTで確認する
根管治療は歯茎の下部に埋まっている歯根内にありますので外見では見えませんし、根管の形態は、指先に伝わる感覚でしか計り知ることが出来ません。また、レントゲンも多くの情報を得られますが、それは二次元的なものです。そこで、CTが治療に加わると歯根や根管を三次元立体的に捉えることができ、治療精度が上がると共に時間短縮につながります。
ラバーダム防湿
根管治療中は根管内への細菌の侵入を防ぐことが、再発や再治療の可能性を低減することになります。そのためには、治療している歯に、通称歯のマスクと呼ばれることもある「ラバーダム」をはめて行うことで、良好な治療効果を引き寄せることが出来ます。
少し締め付けられる感じや、うがい時に外す必要などがありますが、細菌を多く含んでいる唾液が根管内に入り込んでしまうリスクや、菌の増殖条件の一つでもある、湿った環境になることも防げます。ニッケルチタンファイルの
使用根管治療は根管内に残る感染汚染した歯髄を取り除いた後、根管内細菌を洗浄消毒する薬剤を使い、極力無菌化状態になるようにしていくものです。ところが、原形のままの根管では細すぎたり狭すぎたりで治療器具や薬剤が根の先まで到達しません。
そこで、根管の内壁をヤスリで削るようにしながら拡大し器具や薬剤を深部まで入るようにするために釘のような切削道具のリーマーやファイルを使用します。この一連の行程を根管形成と呼びます。通常、多くの歯科医院で使用されているのはステンレス製のファイルです。川島歯科では、ステンレスファイルに比べ高価ではあるのですが、メリットが大きいと考え、ニッケルチタンファイルを導入しています。
Merit ニッケルチタンファイルを
使用するメリット
根管治療の成功率のアップ
根管の形は必ずしもまっすぐではなく、曲がっていることがほとんどです。直角に曲がっていることもあります。ところがステンレスは硬くしなりにくいので、根管の先までファイルが届かず、汚染物質を取り残すことがあります。
その点、ニッケルチタンファイルだと柔軟性があるので、精度の高い根管内清掃、そして根管形成が可能になってくるのです。治療時間の短縮
ステンレスファイルは、基本的に手用のものしかなく時間を要します。しかし、ニッケルチタンファイルであれば電動の機械にファイルを取り付け自動で切削できるので根管形成が効率的に出来ます。
また、切削のファイルの回転スピード、回転するパワーなど自動制御機能が付いているので安全です。